2020年も気が付けばあっという間に桜の季節となってしまいました。
気が付けばブログの更新も久しぶりになります。
今回は、今年1月の半ばに依頼を受けたオリジナルタイルの注文作品がやっと完成しましたので、その制作過程を御紹介しようと思います。
(御希望のタイルのデザイン条件とは)
『南イタリアのアマルフィやカプリ見たいな、青空とレモンとオリーブと
少し古い町並みがあるような図柄で紋章も入れたい』
タイルの大きさは15×15㎝を使用。
スペインのクエルダセカ技法とマヨルカ技法との混合で作ることに決めます。
①送って頂いた何枚かの参考写真を基にまず簡単なラフスケッチを描き
色鉛筆で軽く色をつけてみます。
タイルの向きは壁に飾られる他のタイルとのバランスも考えて
斜めにすることにしました。
②始めにマヨルカ技法を絵付けするための下地を作ります。
全てが上手くいくかはこの下地作りにかかっているといってよいでしょう。
その前にタイルの破片で一度試します。
本番と同様に釉薬をかけ描いて焼成し、色の発色や厚みなどを確認します。
(少し釉薬が厚すぎすました。それだと焼成後にタイルに亀裂が入ったりします)
③厚さを再度調整し直してから本番です。
タイル全体に白の釉薬を一気に流し乾かした後に真ん中の部分を削り取ります。
わさわざそうした手間をかけるのも(部分的に釉がけするよりも)
下地の部分を全体に均一な厚さにするためです。
④乾いた下地に図案を写してからマヨルカ技法の部分を描きます。
水彩画のように筆で濃淡をつけて描いてから一旦焼成します。
下はマヨルカ技法の部分が完成したものに
真ん中のクエルダセカ技法を少し絵付けしています。
⑤残りの部分にクエルダセカ技法(スポイト絵付け)で絵付けをします。
建物の窓の部分はクエルダセカで絵付けした上にマヨルカの筆で描きます。
(見た通りの細かい作業で、やり直しのきかない大事な部分です)
空に浮かぶ雲も同様に描きます。
完成!!
960°前後で焼成したものです。
クエルダセカで絵付けした部分は絵の具が盛り上がり立体的な仕上がりです。
また焼成前と後では色が違ってくるので、いつも窯出しは緊張します。
使用した絵具は全部で16色です。混合色も多く使いました。
クエルダセカ技法の部分のアップ。